2009年11月7日土曜日

「いつか来た道」のその後

5種類のOSで97%

10月9日の日経新聞の「ウィンドウズ7」の記事に、2008年のスマートフォンの世界販売台数のOS別シェアが掲載されていた。それによると、Symbian OS、BlackBerry OS、Windows Mobile、iPhone OS、Linuxの5種類のOSが全体の約97%を占めたという。

この統計は筆者にとって感慨深いものだった。というのは、ある雑誌の2005年1月号に、「今後は携帯電話の世界でも、CPU、OSなどの構成品ごとの水平分業が進み、そうなれば、その専業ベンダによる寡占化が進む。これはかつてメインフレームやパソコンが歩んできた『いつか来た道』で、携帯電話も機能が複雑になれば同じ道を歩むことになるだろう」という趣旨のコラムを書いたからだ。(注1)

この統計はスマートフォンの世界でOSの寡占化が進みつつあることを示している。ではこの寡占の世界での競合メンバーは今後どうなるだろうか?

今後の競合メンバーは?

スマートフォン用のOSとして、2008年にはグーグルのAndroidが戦列に加わり、2009年にはパームのPalm Preで使われるwebOSも現れた。一見競合ベンダが増えているように見えるが、中長期的にはやはり寡占化がさらに進むと思われる。

というのは、前記のコラムにも記したように、OSのようなソフト製品の世界では、「強いところはますます強く、弱いところはますます弱く」なる流れを止めることができないからだ。では、今後の勝敗の決め手は何だろうか?

今後の勝者の決め手は?

メインフレームやパソコンの世界ではアプリケーション・ソフトの品質と品揃えがOS間の勝敗の最大の決め手だった。OS自身の良否は二の次だった。これはスマートフォンについても変わらないだろう。ユーザーが直接使いたいのはアプリケーション・ソフトであってOSではないからだ。OSはアプリケーションを動かすための道具に過ぎない。

次に重要なのは、スマートフォンに特有の要件として、アプリケーションの配布システムがあるのではないだろうか? メインフレームやパソコンでは、一般的にユーザーがある程度の知識を持っているので、ユーザーが自分で必要なソフトを選択し、ベンダから直接購入して使用した。しかし、スマートフォンのユーザーにこういう期待は困難だろう。その上品質に対する要求はある意味でパソコン以上だ。

そのためOSのベンダがアプリケーションの配布システムに力を入れている。アップルはiPhone OS用にApp Storeを開設し、グーグルはAndroid Marketを開いた。そしてマイクロソフトもこの10月にWindows Marketplace for Mobileを開いてこれらに続いた。スマートフォンの世界では、たとえ製品はよくても、こういうアプリケーション・ソフトの流通機構が整備されてないと勝ち残れないのではないだろうか?

(注1) 「いつか来た道-携帯電話のプラットフォームはどうなる?」、「Computer & Network LAN」2005年1月号、オーム社(http://www.toskyworld.com/archive/2005/0501itsukakitamichi.htm)

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