2009年11月17日火曜日

ネーミングを間違えた「iPhone」?

名は体を表さないiPhone

最近のスマートフォンで何ができるだろうか? iPhoneを例にとって想像してみよう。

iPhoneの最初のホーム画面には20個のアイコンを並べることができ、20個の機能を登録できる。その中に、しょっちゅう使うウェブサイトを含めてもよい。この機能を1日の生活に生かすとどうなるだろうか? 以下の「 」内はホーム画面に登録されている機能である。

出張先のホテルで、朝「時計」のアラーム機能で目を覚ます。まず「カレンダー」の予定表でその日の予定を確認する。登録してある「XX新聞」でニュースを読み、米国の「株価サイト」で米企業の株価の終値をチェックする。

「マップ」で、始めて訪問する客先への経路を調べ、指定された駅で下車する。GPSと方位センサによって、現地の方角に合わせて地図が表示されるので、示された経路に従って歩いていくと客先に着く。これなら《地図が読めない女》でも問題ない。

客との商談を「ボイスメモ」に録音しておく。また、「メモ」に話の要点を記入しておく。商談で出た金額は「計算機」、つまり電卓機能で確認する。商談後の雑談時に、初対面の相手に「写真」のアルバムで家族を紹介する。顔を忘れないよう「写真」のカメラで相手の写真を撮らしてもらう。

昼になったので、「マップ」で近所のレストランを捜して昼食。料理が来るまでの間に「メール」で受信メールを読み、「株価」で株の現在値をチェック。「iPod」で音楽を聞きながら食後のコーヒーを飲み、登録してある「SNSサイト」でネット友達の様子を見てみる。

その時、電話の着信音がなる。『あっ、iPhoneは電話にも使えるんだった!』

これは極端な例かもしれない。しかし、20個のアイコンが並んでいるiPhoneの最初のホーム画面で、「電話」は左下隅の1アイコンに過ぎない。iPhoneのネーミングは《名は体を表さず》だ。

上に挙げた例の他、iPhoneを電子ブック・リーダとして愛用している人もいるだろう。また、もっぱら家計簿の管理に使っている主婦もいるだろう。そして、外部機器との組み合わせで実現する機能もある。iPhoneには、運動靴に付けた加速度センサの情報をキャッチして、ランニングやウォーキングの距離や時間を計測し、カロリー消費量を管理する機能もある。この類の製品も今後増えるだろう。

「スマートフォン」が死語に!?

これは何もiPhoneに限った話ではない。他のスマートフォンも同じだ。ということは、「スマートフォン」という名前自体が「名は体を表してない」のだ。「PDA (Personal Digital Assist)」が死語になり、スマートフォンがその市場を引き継いだが、そのスマートフォンも遠からず死語になるのではなかろうか?

現在のスマートフォンには新しい名前が必要だ。「複合携帯端末」とか「常時生活サポート端末」とかいうような意味合いなので、それにふさわしいスマートな名前が望まれる。

スマートフォンの主役は誰に?

携帯電話は無線通信事業者によって始められた。しかし、スマートフォンの開発やそれに関連するサービスの提供は、通信インフラの提供とはまったく性格が違う。通信インフラ事業にとっては、通信速度、信頼性、提供エリアなどが重要なファクターだ。一方、スマートフォンにとっては、メインフレームやパソコン同様、アプリケーション・ソフトの機能や品揃えが競合上最も重要だ。

そのため、スマートフォンのビジネスにはアップル、マイクロソフト、グーグルなど、通信事業とは関係のなかった企業が多数参入している。

通信事業者にとっては、スマートフォンに使われる通信インフラを提供する道を選ぶか、自社でスマートフォンを提供する道を選ぶかを明確にする必要がある。前者なら多数のスマートフォンを扱っても一向に構わない。しかし、後者の道を選ぶなら、OSを一つに絞り、自社独自のアプリケーション・インターフェースを定め、そのアプリケーション・ソフトの流通システムを構築する必要がある。

もちろん、一社で両事業を手がけても構わないが、両事業はまったく性格が違うということを忘れてはならない。

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